2014年11月24日月曜日

津軽/太宰治

№190


津軽の雪

こな雪

つぶ雪

わた雪

みず雪

かた雪

ざらめ雪

こおり雪

東奥年鑑より)


「津軽」は2年前、療養生活中に読んだ一冊だ。フィクションではなく、著者である

太宰が生誕の地である津軽各地方の旧知を訪ねて回るルポルタージュというか

紀行文のような内容である。時に寒風吹きすさぶ中を主に歩いて旅をし、行った

先々で酒肴等の接待を受ける。しかし、彼の一番の目的は彼を育ててくれた乳母と

の再会であり、実際に彼女の家まで出向いてこれを果たしている。

何故彼は遠く離れた東京で文学家として十分成功していながら、一度は離れた

故郷を放浪することを思い立ったのか、最初は動機がよくみえなくもあったが、

淡々と進んでいく構成の中に、逆に太宰の故郷に対する様々な思いが織り込まれ

ている。

これも珍しく読了したうちの一冊だ。








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