小学校低学年の頃、父が養鶏場から一羽200円で10羽のひよこを買ってきた。
全て雌だった。ダンボール箱に裸電球を暖房にした家を作ってやり、成長の過程で父は裏庭に
大きな鳥小屋を作った。そう、物置小屋くらいある大きな鳥小屋だ。
その中で雌鳥たちはすくすくと育った。父が休日に畑仕事をする際などは、庭に開放され、思うように
雑草や蚯蚓を食べていた。成鳥になってからは一羽あたり1日最低でも1個、多い時には2個の卵を
産んだ。それで食卓にはスーパーのものとは比較にならない美味な卵料理が並び、これを
口にすることが出来た。
途中、弟か妹が縁日で三羽のカラーひよこ(雄)を買ってきてそれも成鳥まで育てたのだが、父が
有精卵を期待してか先輩格の雌鳥10羽と同じ鶏舎に入れたところ、さんざん苛められたのと、雄の性として
早朝の「とき」の声をけたたましくあげはじめたため、業者に引き取ってもらった。恐らくは〆られたのであろう。
その後雌鳥たちは野犬やイタチに襲われたり、癌にかかったりして(父に動物病院に連れて行ってもらった
がダメだった。獣医は、そもそも鶏を連れて来られたのは初めてだとのことを言っていたようだが
さもありなん。)櫛の歯が抜けるように少しずつ減っていったが、潰す(おそらく父はそれを何度も考えた
ことだろうが)こともなく最後まで看取ってやれたのではなかったかと思う(?
もし今後鶏などの家畜を飼う場合避けては通れないだろうが、その時にそれをやりきる自身はない。
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